コロナ禍が浮き彫りにしたモビリティサービスの明暗｜カーシェア・カーリースに注目が集まる理由とは？

新型コロナウイルスによる影響について

4月7日に７都道府県で出されていた新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言は16日、対象地域が全都道府県へと拡大されました。

緊急事態宣言は、ロックダウン（都市封鎖）のような拘束力は持ちません。政府やメディアは継続的に、不要不急の外出を控えることと、「三つの密」（①密閉空間（換気の悪い密閉空間である）、②密集場所（多くの人が密集している）、③密接場面（互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や発声が行われる））が重なる状況を避けるように呼び掛けています。

緊急事態宣言により、各都道府県の知事は、住民に対して期間と地域を定めた上で不要不急の外出を自粛するよう「要請」できるほか、事業者などに対して店舗や施設の使用制限を「要請」できるようになります。

外出自粛の要請についてですが、医療機関への通院、食料の買い出し、職場への通勤など、生活の維持に必要不可欠な外出については対象となっておらず、東京都の小池都知事も10日の記者会見で「食料品や衣料品など生活必需品を購入するための外出や病院などへのお出かけは制限はない。生活必需品を販売する店舗への休業要請も行っていない。安心していただいて、買いだめなどは厳に慎んで頂きたい」と述べています。

今回、緊急事態宣言が全国に拡大しましたが、外出自粛については各知事も同様の政策を取ることが想定されますので、安易な買いだめや買い占めについては意識して控えることが望ましいと言えます。

一方で施設の休業要請についてですが、こちらについては各都道府県によって、対象や補償制度に差が出てくることが予想されます。

特に個人事業主や中小企業の経営において、休業することが補償の条件になることも有り得ますので、店や工場を開けていても集客が見込めない場合は、休業に踏み切る企業も全国規模で増加すると考えられます。

この影響はモビリティサービスにも大きく波及すると見られます。

現状でも各メーカーの工場の稼働体制が悪化しており、生産に大幅な遅れが出ているほか、自動車のディーラー店舗や整備工場が休業してしまえば、住民の中には車検を通すことができず、最悪生活の足を奪われる事態になることも考えられます。

国内メーカーの工場稼働情報（2020/4/19時点）

初めに記載したように生活維持のための外出が認められたとして、緊急事態宣言が全国に拡大した今、実際に移動する手段を失ってしまう人、中でも地方に住む人達への生活圧迫が懸念視されます。

政府や自治体には、新型コロナウイルスによる直接的な影響だけでなく、自粛や休業の要請によって何が起こり得るかという二次的被害についてもしっかり検討し、然るべき補償や要請を行うことが求められているのではないでしょうか。

カーシェアリングの利用者が増加

新型コロナウイルスの影響により、国内の観光業が大損害を被っていることは連日ニュースでも伝えられています。

日本政府観光局によると、３月に日本を訪れた外国人旅行者は、推計で19万3700人で、去年の同月と比べて93％もの減少となったことが発表されています。

海外から旅行客だけでなく、国内でも不要不急の他県への移動は自粛の風潮になっており、春休みだけでなく5月のゴールデンウィークまでこの体制が続くため、国内経済が大打撃を受けることはほぼ確実となっています。

観光業の不振で損害を被るのは、ホテルや宿泊施設だけでなく、レンタカー事業も同じです。

3月決算の事業者による第4四半期の業績はこれから徐々に発表される見通しですが、大幅な下方修正が予想されます。特にインバウンドによる需要が激減したことで、昨年度から春休みやゴールデンウィークのシーズンに向けて車両を増やしていた業者は、稼働率の悪化で採算が取れなくなっていると思われます。

苦戦するレンタカーとは対照的に、カーシェアリング事業においては苦境の中にもプラスの要素が出てきています。

カーシェアリングサービス「タイムズカーシェア」は、夜間から翌朝まで利用できる定額プランの利用者が3倍に増えたことを明かしています。

同社の「ナイトパック」は、午後6時～午前9時の最大15時間利用できる定額パックで、通常は車種のクラスによって2640～5280円のところ、全クラス一律500円に値下げするキャンペーンを3月6日から開始していました。

新型コロナウイルス感染拡大防止の一環として、政府が「人との接触機会8割減」を推奨する中、「混雑や接触を極力避けられる手段としてカーシェアリングの需要が高まっているのではないか」と関係者は話しています。

ナイトパックのキャンペーンは再延長されることが発表されており、2020年4月20日（月）〜2020年8月1日（土）は、全クラス480円（税込）で利用できることが公式サイトに記載されています。

タイムズカーシェアだけでなく、カーシェアリング事業各社は新型コロナウイルスが蔓延し始めた頃から、積極的に車内の清掃や除菌、感染対策についての情報発信に力を入れており、そうした努力も実って、一見敬遠されがちな共用車の利用について、致命的な顧客離れを抑制することに成功したという印象です。

緊急事態宣言が全国拡大したことで、カーシェアリングの全国的な需要と供給がさらに高まることが予想されます。

マイカーリースや車サブスクリプションに注目が集まる傾向も

カーシェアリングは一時的な車の利用に適したモビリティサービスですが、生活必需品としてのマイカー調達手段として、カーリース（車サブスクリプション）にも注目が集まっています。

外出自粛や休業要請が全国に広がることが予想される中、店舗を持たず、オンラインでのネット申し込みに対応しているリース会社への問い合わせが増えていることが、業界関係者の話で分かっています。

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オンライン型のマイカーリースでは、在宅で国産車の全メーカー・全グレードを比較することができるほか、カーナビやドライブレコーダーなどのオプションや、車検・オイル交換といったメンテナンスも自由にパッケージングすることも可能です。

マイカーリース（車サブスクリプション）の特徴として、頭金が不要であることや、ローンや現金購入において発生する新車購入時の環境性能割や重量税、登録費用といった費用がリース期間で均されることがあるため、貯金や預金を切り崩すことなく、軽自動車であれば月々1万円台から車に乗ることもできます。

新型コロナウイルスの影響で、全体的にメーカーの生産も遅れていることもあるため、今すぐに車が必要な方には、中古車マイカーリースという選択肢も推奨できます。

世界で猛威を振るっている新型コロナウイルスについて、既に短期の収束は見込めず、年単位におよぶ長期戦の様相を見せ始めています。

今後、人との接触や外出の自粛要請が長引けば、非店舗・非対面で契約できるマイカーリースの需要が増えていく可能性は十分に考えられます。

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