国立西洋美術館

【ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-】国立西洋美術館|サヴォア邸|ロンシャンの礼拝堂ほか

国立西洋美術館

ル・コルビュジエの建築作品について

国立西洋美術館

 

世界遺産登録年:2016年

登録基準

(ⅰ)人類の造像的資質を示す傑作

(ⅱ)建築や技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展において、ある期間または世界の文化圏内での重要な価値観の交流を示すもの

(ⅳ)人類の歴史上において代表的な段階を示す、建築様式、建築技術または科学技術の総合体、もしくは景観の顕著な見本

 

遺産概要

20世紀にもっとも影響力を持っていたと言われる建築家「ル・コルビュジェ」設計の建築物群。

構成資産は7ヶ国から17作品が登録されています。

日本からは「国立西洋美術館」が選出され、リストにその名を連ねています。

文化や歴史的背景、自然環境などが共通する資産は、全体として顕著な普遍的価値を有するものと見なされれば「シリアル・ノミネーション・サイト(連続性のある遺産)」として登録されます。

指針としては「同一の歴史・文化群に属するもの」「地理区分を特徴づける同種の資産であるもの」「同じ地質学的、地形学的、または同じ生物地理区分もしくは同種の生態系に属するもの」と定義されています。

特に「ル・コルビュジエの建築作品」は、世界中に散らばった作品の数々について普遍的価値が認められている点で、極めて珍しい「トランスコンチネンタル・サイト(大陸を超える遺産)」としても希少な価値を有しています。

 

ル・コルビュジェとは?

ル・コルビュジェは1887年、スイスの小さな町で産まれました。

若くして彫金の仕事に携わった彼は、後にオーギュスト・ペレや、ペーター・ベーレンスなどの著名な建築家の下を渡り歩き、1913年に独立。

1917年にパリに本拠を構えて以降、過去の様式に拠らない革新的な建築論を展開させ、近代建築の土台を築いていきました。

自らが抱く住居のイメージを「住むための機械」と銘打ち、世界のすべての地域に普遍的に建てられる建物の実現を目指して、機械的・合理的な近代建築の礎を築くことに生涯を捧げました。

 

サヴォア邸と「近代建築の5原則」

コルビュジェは近代建築の特徴を①ピロティ(2階部分を柱だけで支えた空間)、②屋上庭園、③自由な平面、④水平連続窓、⑤自由な前面 の5つであると唱えました。

紆余曲折を経て、この5原則をようやく実践できた作品が、パリ郊外にある「サヴォア邸」という建物でした。

細い柱で支えられたピロティ、壁面を横断する水平連続窓、斜路、曲面を多用した屋上の風よけ壁など、開放的で明るい空間の演出は、モダニズム建築の普及に大きく貢献したと言われています。

 

サヴォア邸

 


ル・コルビュジエの建築作品 構成資産

日本(1)

フランス(10)

スイス(2)

ドイツ(1)

ベルギー(1)

アルゼンチン(1)

インド(1)

 

 

日本

国立西洋美術館

国立西洋美術館

1959年竣工。

渦巻き状に展示室を増築していく「無限成長美術館」をコンセプトに設計されました。

戦前、実業家である松方幸次郎が収集した「松方コレクション」がフランス政府から寄贈返還されることになり、コレクションを収容するための専用の美術館を建てるための設計担当として、ル・コルビュジェに白羽の矢が当たりました。

「近代建築の5原則」が色濃く反映されており、コルビュジェの理想を高い再現度で具現化した建築物として、世界中にその名が知れ渡っています。

 

フランス(10)

サヴォア邸

サヴォア邸

1931年竣工。

コルビジェの思想「近代建築の5原則」が完璧に実現された傑作。

白い幾何学的な箱を、細い柱が支えており、建物が丘の上に浮かび上がっているかのような景観を醸し出しています、

 

ロンシャンの礼拝堂

ロンシャンの教会堂

1995年竣工。

第2次世界大戦で破壊された礼拝堂を再建したもの。

蟹の甲羅のようなコンクリートシェル構造の屋根を、自由な曲線を用いた白壁で支えています。

ル・コルビュジェ後期の代表作にして、それまでの彼の建築哲学からは大きく隔たっていたデザインに、賛否両論が巻き起こりました。

ラ・トゥーレットの修道院

ラ・トゥーレット修道院

1958年竣工。

ドメニコ会の修道院であり、100の僧房や食堂、礼拝堂が回廊で結ばれています。

ピロティで持ち上げられた5階建てで、礼拝堂、僧房などが「ロの字」に配置されています。

「波動式」と呼ばれるリズミカルな窓割が採用されています。

 

 

ぺサックの集合住宅


画像出典:Wikipedia

1925年竣工。

製糖工場を営む実業家が計画した、労働者向けの宅地開発。当初は200戸余りの建設が予定されていたものの、完成したのは約50戸。

青、ピンクなどカラフルな街区が特徴的。

 

 

ラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸

画像出典:Wikipedia

1925年竣工。

銀行家でアートコレクターのラ・ロッシュのための家と、コルビュジェの兄であるジャンヌレのための家が一棟になっています。

ピロティを初めて登場させたコルビジェ初期の代表作です。

 

ポルト・モリトーの集合住宅

画像出典:Wikipedia

1934年竣工。

スチールフレームとガラス、ガラスブロックを用いたファサード(前面)が印象的な集合住宅。

ル・コルビュジェは最上階と屋上を、住居とアトリエとしていました。

 

マルセイユのユニテ・ダビタシオン

File:Unité d'Habitation 2 - panoramio.jpg

画像出典:Wikipedia

1952年竣工。

全長165メートル、幅24メートル、高さ56メートルの巨大な直方体がピロティによって持ち上げられ、支えられている。

内部には337戸の住宅と店舗やレストラン、郵便局などのサービス機能が、屋上には幼稚園やプール、公園があります。

コルビュジェの理想「垂直の田園都市」が実現されています。

 

サン・ディエの工場

1952年竣工。

コルビジェが友人からの依頼で手掛けた織物工場の再建です。

労働環境を変革する「緑の工場」のプロトタイプであるとされています。

 

 

カップ・マルタンの小屋

画像出典:Wikipedia

1951年竣工。

コルビジェが妻のために建てた別荘。

丸田組みに見える外壁には、スライスした松材が貼られています。

住居としては考えられないほどの驚異的な狭さと小ささは、人体寸法と黄金比をもとにコルビジェが編み出した尺度「モデュロール」にもとづき設計されています。

 

 

フィルミニの文化と青少年の家

画像出典:Wikipedia

1965年竣工。

フィルミニ市の再開発計画として、競技場、教会、集合住宅とともにル・コルビュジェが設計を手掛けた複合施設。

生前に完成した最後の作品であり、傾斜した壁や、放物線上の屋根など、直酷的な建築となっています。

 

 

スイス(2)

レマン湖畔の小さな家

画像出典:Wikipedia

1923年竣工。

コルビジェが自分の両親のために設計しました。

湖を望む南面には、長さ11メートルに及ぶ水平連続窓が設けられています。

 

イムーブル・クラルテ

画像出典:Wikipedia

1932年竣工。

金属製造業を営むエドモン・ヴぁネールの協力により完成した、鉄骨造の集合住宅。

住宅内に可動式の間仕切りや造作家具が備わっており、仏語で光を意味する「クラルテ」の名の通り、ガラスを多用した光あふれる建築となっています。

 

 

ドイツ(1)

ヴァイセンホフ・ジードルングの住宅

画像出典:Wikipedia

1927年竣工。

ミース・ファン・デル・ローエが中心となって開催された住宅展示会のために設計されました。

「近代建築の5原則」を実現した2世帯用と、「シトロアン住宅」の1世帯用の2棟から成り立っています。

 

 

ベルギー(1)

ギエット邸

画像出典:Wikipedia

1962年竣工。

画家ルネ・ギエットのアトリエ兼住宅。

ル・コルビュジェが提案した、安価で大量生産が可能な「シトロアン住宅」の特徴を有しています。

 

 

アルゼンチン(1)

クルチェット邸

画像出典:Wikipedia

1995年竣工。

1階が車庫、2階が診療所、3~4階が住宅兼診療所になっています。

コンクリート製の日よけが印象的なこの建物は、映画「ル・コルビュジェの家」の舞台としても有名です。

 

インド(1)

チャンディガールのキャンピトル・コンプレックス

画像出典:Wikipedia

1955年~現在。

唯一実現したル・コルビュジェの都市計画です。

ヒマラヤ山麓の広大な敷地が、庁舎を始めとする首都機能、商業、教育、住居などの街区に分けられています。

 


 

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