車の定額制サービスは、レンタカーに始まって、マイカーリース、カーシェアリング、車サブスクリプションと多岐に渡り、それぞれのサービス内容も多角化しています。
今回の記事では、車サブスクリプションをテーマに掲げて、顧客と企業の両方の目線からサービスのメリットとデメリットを解説していきます。
車サブスクリプションとは?
車サブスクリプションならびにマイカーリースは、月々の定額払いで車を保有できるという、所有(購入)と借用(レンタル)のちょうど中間に位置するサービスとなっています。
自動車税・重量税などの税金、自賠責保険料といった維持費が月々の支払いに均(なら)されているため、顧客側としては月額料金を支払うだけで、納税の手間などに煩わされることなく数ヶ月から数年単位で車を持つことができます。
車サブスクリプションは概ねカーリースと同義で扱われていますが、昨今のマイカーリースは月々の支払いに含まれる費用について、金額が固定されているコストだけでなく、車を使う人によって変動するコストにまで範囲を広げた、より独自色の強いサービスとして確立されつつあり、そういったサービスの包括的な総称として「車サブスクリプション」という用語が使われています。
いくつか事例を出すと、オリックス自動車の「いまのりナイン」には車検とオイル交換が無料になるクーポンが付いていたり、ナイル株式会社が運営する「定額カルモくん」やカーコンビニ俱楽部が運営する「カーコンカーリース もろコミ」では、メンテナンスプランを付帯することで、車検だけでなく消耗品の交換なども月々の支払いにコミコミにすることができます。
そのほかにも、コスモ石油の「コスモMyカーリース」ではガソリン代の割引きを受けることができ、トヨタの「KINTO」やガリバーの「NOREL」には任意保険(※)も含まれています。
※個人の等級は適用できないため、一部の人には不利になるケースがあることには注意が必要
一般のサブスクリプションサービスでは、「モノ」そのものではなく、モノを利用する「権利」にお金を払うことになります。
ここには「契約期間の満了」という概念はなく、ユーザーは任意のタイミングで解約したり再契約をすることができます。
その点、車サブスクリプションは少し色合いが違っていて、一定の契約期間が経過しなければ、車を返却したり、次の車に乗り換えることができません。
契約期間は、おおよそ数ヶ月から十数年と、サービス提供会社のプランによって幅があります。
車定額制サービスを検討する上で最も重要なことは、ユーザー側で「最低限この費用は月々の支払いにコミコミ定額にしたい」という意思を明確にしておくことです。
例)車検だけ含まれてればOK、修理代と任意保険も含めたい etc
以下に掲載している車定額制サービスの比較表も併せてご参考にしてください。
自動車ローン | 車サブスクリプション/カーリース | カーシェアリング | レンタカー | |
---|---|---|---|---|
契約期間 | 長期(5年~) | 短期~超長期(数ヶ月~11年) | 超短期(数分~1日) | 短期(数時間~数日) |
契約満了時 | 所有権解除 | 買取・乗換・返却・無償譲渡など | 返却 | 返却 |
頭金 | 必要な場合が多い | 不要 | 不要 | 不要 |
メンテナンス | 契約者が自分で対応 | 契約者が自分で対応するか、メンテンス付プラン | 短期契約のため不要 | 短期契約のため不要(返却時のガソリン代) |
税金の支払処理 | 契約者が自分で対応 | サービス提供会社が実施 | 短期契約のため不要 | 短期契約のため不要 |
中途解約 | 残債を一括清算すれば可能 | 一定期間が経過するまでは解約不可(やむを得ない場合は違約金や追加請求が発生) | 解約金なしで可能 | 解約金なしで可能 |
ディーラーとの値引交渉 | 契約者が自分で対応 | サービス提供会社が有利な条件を確保 | 不要 | 不要 |
任意保険 | ディーラー推奨の 保険会社で契約 | 契約者自が自分で加入するか、契約に含める | 専用の保険をオプションで選択 | 専用の保険をオプションで選択 |
車サブスクリプションのメリット
顧客側のメリット
① 月々定額の利用料に諸費用がコミコミ
車サブスクリプションでは、該当のWEBサイトにて、車選びから審査申込、契約に至るまでワンストップで行うことができます。
大手のサイトでは複数のメーカーによる車種がまとめて掲載されているため、自分の足でディーラーを回る手間が無く、値引きも個人で交渉するより有利な条件で契約することができます。
契約後の車の維持についても、毎年訪れる自動車税の納税手続きに悩まされることなく、車検のためにまとまったお金を準備しておく必要もありません(車検の前にサービス会社から相当額が振り込まれる)
オートローンでは頭金の支払いが条件になることもありますが、車サブスクリプションでは頭金0円でOK、初期コストをほぼゼロで車を手に入れることができます。
サービス提供会社の中には、メンテナンスや任意保険まで月々の支払いにコミコミにすることができるプランを提供しているところもあります。
メンテナンス付きプラン
任意保険付きプラン
② 残価を設定したり、契約期間を延ばすことで、支払いを安く抑えることができる
まず前提として、車サブスクリプションは大きく2つのカテゴリーに分類されます。
ひとつは「残価型設定型」、
そしてもうひとつが「無償譲渡型」です。
残価設定型
コスモマイカーリース、KINTO、フラット7、クルカ、リースナブルなど
- ボーナス払いと併用することで、月々1万円以下で車に乗ることも可能
- オートローンと比べて審査が通りやすい
- 契約期間が短いので、いろんな車種を試してみることができる
無償譲渡型
カルモ(乗り放題オプション)、オリックス、カーコンカーリースなど
- 長期~超長期の契約かつ軽自動車であれば、完全定額で月々1万円台も可能
- そのまま車を無償譲渡でもらい受けることができる
- 月間の走行距離制限を気にしなくて良い
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③ 恒常的に利用できる車を確保することができる
レンタカーやカーシェアリングは、PCやスマホで事前に予約をしておくことで車を手配できるサービスです。
特にカーシェアリングだと、駐車場に停められる台数にも限りがあるため、予約が殺到した場合、企業側で車を用意することができないケースがあります。
車サブスクリプションでは、マイカーと同じように車を手元に置いておくことができるため、急に車が必要になったり、通勤との兼用など日常的に車を使う人が安心できるサービスとなっています。
企業側のメリット
① 自動車ディーラーや整備工場ならば、比較的簡単に始められる
車の販売に関わっている業者であれば、サブスクリプションビジネスを始める敷居は比較的低くなっています。
大手のリース会社と提携もしくは代理店としての契約(フランチャイズ契約)を結ぶことで、その会社が販売する商品の取り扱いが可能となり、審査機能を借りることができるようになります。
提携の規約によっては、契約者の納税手続きを代行したり、月額利用料を回収するなど、契約期間中の業務をリース会社に委託することもできます。
また、それまで別々の商材として取り扱っていた「車両販売」「車検」「メンテナンス」「保険」などを、サブスクリプション契約にまとめて含めることができるので、業務の削減にも繋がります。
加盟店を募集している主な企業
② 新規顧客を集めやすい
頭金やボーナス払いを必要としない車サブスクリプションは、資金力のない人でも車を持てるサービスです。
企業側にとっては、新規顧客の獲得において、見込み顧客の層を広げることにも貢献します
③ 継続的な売上として試算が出来る
特に、契約期間の長い「無償譲渡型」車サブスクリプションの場合だと数年から十数年に渡って契約が続くため、顧客の囲い込みや、一定期間内における収益の確保といったメリットに期待することができます。
車サブスクリプションのデメリット
顧客側のデメリット
① 実質上、車の非稼働時にも料金を支払うことになる
レンタカーやカーシェアリングとは違い、車を保有するサブスクリプションでは、実質的に非稼働時にも料金が発生することになります。
これはサブスクリプションサービスに共通するデメリットですが、車の場合は特に負担の割合が大きくなります。
国内の乗用車の平均稼働率は4%前後とも言われており、駐車場を借りている人であればその分の費用も上乗せされます。
休眠中の車を他者に貸し出す「マイカ―シェア」というサービスも展開されていますが、車サブスクリプションの場合、車の所有者はサービス提供会社となるため、第三者への貸与(転リース)は原則として不可となっています。
例外的に、株式会社DeNA SOMPO Mobilityが運営する「SOMPOで乗~る」というリースプランで契約した車両であれば、「Anyca(エニカ)」という個人間カーシェアリングに車両を登録し、非稼働時に他者へ貸し出すことで副収入を得ることができる仕組みになっています。
② 契約中の中途解約は不可(違約金や追加請求が発生)
車サブスクリプションの原則は「ノンキャンセラブル」。中途解約はできないものと考えてください。
契約をユーザー本位で自由に解約できるとなると、実際に車を購入した企業側は元本を回収できず損害を被ることになってしまいます。サービス提供会社はディーラから車を購入した「消費者」でもあり、消費者保護の観点からこうした措置が取られているのです。
なお、以下のプランでは、契約開始から2年が経過すれば違約金なしでの中途解約が可能となっています。
③ 車の価値を下げるような改造はできない
車サブスクリプション契約は、ユーザーが借り受けた時の状態のままで返却することを前提として契約が締結されます(原状回復の原則)。
その場合でも、契約が終了し車を返却する際には、後付けで設置したインテリアは事前に車から回収しておいたり、処分しておくことをお勧めします。
④ 残価設定型のデメリット
月間・年間の走行距離距離制限や、残価精算のリスクがある
残価設定型の場合、ほとんどのプランで走行距離の上限が設けられています。
クローズドエンド方式では、残価リスクはサービス提供会社が担うため、差額を請求されることはありませんが、走行距離の超過分については精算金が発生します
用語解説
オープンエンド・リース……残価の価格を公開(オープン)する契約のため、オープンエンドと呼ばれます。リース契約満了時に、物件(車両)の残存価格を契約当初に設定した額と、満了時点における実勢価格との差額精算を行います。
クローズドエンド・リース……残価の価格を非公開(クローズド)とする契約のため、クローズドエンドと呼ばれます。契約期間満了後、物件(車両)の残存価格を精算しないでリース会社に返却する方式です。ウェブ上で販売されているリースプランのほとんどが、このクローズドエンド・リースに属しています。
もっとも、国内における実際の平均走行距離が月間で 350km前後(JAWA-一般社団法人日本自動車工業会 調べ)という実態に比べ、1000km弱~2000kmと、サービス提供会社が設けている走行距離の上限にはかなり余裕があります。
契約終了時の査定で、車両の価値を著しく下げるようなキズや凹みが確認されたり、事前に取り決めていた累積走行距離の上限をオーバーしていたりすると、保全義務の不履行としてペナルティ(違約金)が発生してしまうことには注意が必要です。
このような距離制限や残価精算のリスクが無いことも、無償譲渡型が好まれる理由の一つともなっています。
⑤ 無償譲渡型のデメリット
同じ期間で考えた場合、購入やローンよりも支払い総額がやや高くなる傾向がある
基本的に車サブスクリプションは分割払いの契約となります。
近頃の傾向としては、契約期間を長めに設定し、できるだけ月々の支払いを少ない額に設定する無償譲渡型が主流になりつつありますが、
残価設定型の場合でも、契約終了時にそのまま車を買い取ることを選択した場合、同様の理由で割高になるケースがあります。
企業側のデメリット
① 即収益にはならない
サブスクリプション型のビジネスモデルでは、従来の売り切り型と違って契約直後に大きな売り上げを出しにくい面があります。
特に車サブスクリプションの場合だと、車両本体価格や新車登録費用など、購入の場合であれば顧客側が支払うイニシャルコストをサービス提供会社が立て替えることになるため、多額の資金が必要になります。
いくら月額料金に管理手数料や金利が含まれているとはいえ、契約から数年程度では元手を回収することは難しいと考えてください。
② 個人経営の場合、大手企業と協業しないとビジネスを拡大させにくい
特に地方の自動車販売店や整備工場だと、オンラインで店舗を持ち、全国納車に対応している大手サービス会社のプランに顧客を持っていかれてしまうことがあります。
地元での知名度やネットワークに頼るだけでは先細りしてしまうビジネスであるため、大手企業と代理店店の契約を締結することで、販売力のある商品を自分の会社でも売ることのできる権利を得たり、審査を全面的に任せられるなどのアドバンテージを手にすることができます。
③ 残価設定型のデメリット
査定時に売却損が発生する可能性がある
契約が終わり、車両が企業に返却された場合を想定します。
この時、車両は査定に回され、そのまま国内や海外の中古車市場に流れていくケースが大半ですが、サブスクリプション契約の締結時に設定した残価額が、実際の市場価値を大きく下回ってしまった場合、売却損のリスクが発生します。
査定額が割れた原因が、顧客の利用状況(喫煙による臭いや、キズ凹みなど)によるところが大きければ、差額の一部を請求する余地もありますが、そうではなくサービス提供会社自身が現実的でない残価を設定していた場合は、リスクをそのまま請け負うことになります。
例)5年落ちのアクアを残価50万円で見込んでいたところ、実際の査定額が25万だったとすれば、単純計算で25万円の損害となります。
④ 無償譲渡型のデメリット
収益源が一本化する
無償譲渡型の場合、そのまま車を契約者に譲り渡すため、残価設定型のように中古車市場に流して売却益を得ることはできません。
サービス提供会社の収益源としては、月額利用料に乗った管理手数料や金利のみとなります。
※メンテナンス付きプランだと、当初の想定に比べてタイヤを交換する頻度が少なかったり、丁寧に車を使ってもらったことで修理代が抑えられたなど、一定の条件下では収益に繋がるケースもあります。
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